SDカードをフォーマットしたらデータは消える?仕組みと復元方法を解説

SDカードを誤ってフォーマットしてしまった方へ。データは本当に消えるのか?その仕組みや復元できる条件、注意点、復元手順まで詳しく解説。初心者にもわかりやすい対処法を紹介します。

カオル

更新者: カオル / 2025年05月30日

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SDカードを使っていると、誤って「フォーマットしてしまった」。或いは「フォーマットする必要があります」と表示されて中のデータが見られなくなった、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、SDカードをフォーマットするとデータは本当に消えてしまうのか、その仕組みや復元できる可能性、さらに復元手順まで詳しく解説します。

SDカードをフォーマットした

SDカードをフォーマットするとどうなる?

フォーマットとは何か?

フォーマットとは、SDカードなどの記録媒体を初期化して、データを書き込める状態に整える作業です。

フォーマットする必要があります

一般的に「クイックフォーマット」と「フルフォーマット」の2種類があり、多くの場面で使われるのは処理の早いクイックフォーマットです。

​ 「ディスクの管理」ツールでフォーマットする時、「クイックフォーマットする」のチェックを入れたら、クイックフォーマットになります。

クイックフォーマット

クイックフォーマットとフルフォーマットの違いクイックフォーマットは、SDカードやハードディスクの「ファイルの管理情報(目次のようなもの)」だけを削除する処理です。データそのものは残ったままです。一方、フルフォーマットは、管理情報を消すだけでなく、記録領域全体をチェックして不良セクタの検出やデータの上書きを行います。これにより、元のデータはほぼ消えてしまいます。

この工程では、データそのものがすぐに完全に消えるわけではなく、記録されていた場所の管理情報だけが削除される仕組みになっています。

フォーマットで本当にデータは消えるのか?

一見、SDカードをフォーマットすると「すべてのデータが完全に削除される」と思いがちですが、実際にはデータそのものが即座に消去されるわけではありません

特に一般的に使われる「クイックフォーマット」は、データの記録領域を初期化するのではなく、ファイルの管理情報(インデックス)だけを削除する処理です。例えるなら、「本の目次ページだけを破った状態」であり、本文(実データ)はまだそのまま残っている場合があるということです。

ファイルの管理情報(インデックス)とはSDカードやパソコンの中でファイルの場所や名前、サイズなどを管理するための「目次」のようなものです。たとえば、本の中で読みたいページをすぐに探せるのは「目次」があるからですよね。同じように、パソコンはこの「インデックス」を見て、どこにどんなデータが保存されているかを把握しています。フォーマットのクイック処理は、この「インデックス」だけを削除します。

フォーマットした後でもデータが復元できる理由

削除されたファイルの仕組み

SDカード内のファイルは、FAT(ファイルアロケーションテーブル)という管理情報によって整理されています。フォーマットするとこのFAT部分が消去され、データの「目次」が失われた状態になります。とはいえ、実際のデータ本体はしばらく残っているため、適切なツールを使えば読み取ることが可能です。

FAT(ファイルアロケーションテーブル)とはSDカードやUSBメモリなどで使われるファイルシステムの一つにFAT(File Allocation Table)があります。これは、SDカード内のデータがどこに保存されているかを管理するための特別な「表(テーブル)」のことです。FATは、カードの中の「どの部分にどのファイルのデータがあるか」を1つ1つ記録しています。前述べたインデックスは「ファイル名・サイズ・場所(FATなど)を含む、ファイルを管理するための情報の総称です。

復元できる可能性があるケース

フォーマット後でもデータが復元できるかどうかは、状況や操作内容によって大きく異なります。以下のようなケースでは、データ復元の成功率が高まる可能性があります。

1. クイックフォーマットを行った場合:クイックフォーマットは、ファイルの管理情報(インデックスやFATなど)を削除するだけで、実際のデータ部分は残っていることが多いです。

2. フォーマット後に新しいデータを書き込んでいない場合:フォーマットした後に、写真や動画の保存、データのコピーなど新しいファイルを書き込むと、元のデータ領域が上書きされる恐れがあります。上書きされていなければ、復元は比較的容易です。

3. フルフォーマットであっても「ゼロ消去(上書き)」がされていない場合:一部のフルフォーマットでは、不良セクタのチェックだけが行われ、データ自体の上書きがされないこともあります。こうした場合も、復元できる可能性は残っています。

ゼロ消去(上書き)とは「ゼロ消去」とは、SDカードやハードディスクの記憶領域に対して、データの代わりにすべて「0(ゼロ)」のデータを上書きする処理のことです。別名で「上書き消去」とも呼ばれます。この処理をすると、もともと保存されていたファイルのデータは完全に消え、復元が非常に難しくなります。

4. 物理的な故障や損傷がない場合:SDカード本体に傷や破損、水濡れなどの物理的ダメージがないことも復元成功の重要な条件です。物理的な故障があると、ソフトウェアでの復元は非常に困難になります。

5. フォーマット直後、かつ使用頻度が低い場合:フォーマットしてから時間が経っておらず、カードをほとんど使用していない状態は、データの痕跡が残っているため復元できる可能性が高まります。

フォーマット後のSDカードからデータを復元する方法

フォーマット後のSDカードからデータを復元する際は、専用の復元ソフトを活用するのがもっとも効率的です。中でもおすすめなのが、Partition Assistant for Recoveryです。

このソフトは、写真・音声・ビデオ・Word・Excel・PDF・メールなど、1,000種類以上のファイル形式に対応しており、SDカードはもちろん、内蔵・外付けのHDD/SSD、USBドライブなど、さまざまなストレージデバイスからの復元が可能です。さらに、誤削除やフォーマット、上書き、設定ミスといった多様なデータ損失のシナリオに対応しており、システムに詳しくない方でも扱いやすい直感的なユーザーインターフェースが特長です。

Partition Assistant for Recovery

プロのなWindowsデータ復旧ソフトでさまざまな状況から失われたデータを復元できる

※注意:復元したいデータが上書きされる恐れがあるため、データが失われたドライブに本ソフトウェアをダウンロードしてインストールしないでください!

ステップ1. 場所を選択

Partition Assistant for Recoveryをインストールして起動します。データが失われたドライブ(この例ではHドライブ)を選択し、「スキャン」をクリックします。

場所を選択

ステップ2. ファイルを選択

「クイックスキャン」で削除されたデータを迅速に検出し、その後「ディープスキャン」で他の失われたデータを検索します。スキャンが完了すると、削除されたファイルや紛失したファイルが表示されます。

ファイル名やフォルダー名を簡単に入力して、ファイルやフォルダーを検索できます。ファイル名やフォルダー名を検索したり、ファイルサイズ、変更日、ファイルタイプでフィルター処理することもできます。

ファイルを選択

ステップ3. 保存先を選択

「フォルダーの選択」ボタンをクリックして、復元したファイルを保存するパスを選択します。

ファイルの上書きを避けるため、復元されたファイルを元場所と異なるディスクで保存しなければなりませんので注意してください。

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フォーマット後の復元で気をつけたい注意点

SDカードをフォーマットしてしまった後にデータを復元する場合、適切な手順を踏まないと復元の可能性が大きく下がることがあります。以下の点に十分注意することが重要です。

1. フォーマット後は新しいデータを書き込まない

フォーマット後のSDカードに新たなデータを保存すると、元のデータが保存されていた領域に上書きが発生し、復元が困難になります。たとえば写真を撮り続けたり、SDカードを再利用したりすると、それだけで復元可能なファイルが失われることもあります。フォーマットしてしまったと気づいたら、すぐに使用を中止し、なるべく何も操作しないことが大切です。

2. データ復元は早めに行うのが鉄則

時間の経過とともに、システムがSDカード上に自動的な書き込みを行ったり、断片化が進んだりする可能性があります。データの痕跡が残っていても、状態が変化すると復元できる精度が下がるため、できるだけ早く復元作業を始めましょう。

3. SDカードに物理的な損傷がある場合はソフトでは対応できない

落下、水濡れ、高温環境などによりSDカードが物理的に故障している場合、復元ソフトでは対応できません。このようなケースでは、無理に操作せず、データ復旧専門業者への相談を検討する必要があります。

4. 復元ファイルの保存先は必ず別の場所に

復元作業を行う際、復元したファイルを同じSDカードに保存するのはNGです。上書きの危険があるため、復元結果は必ずパソコン本体や外付けHDDなど、別のストレージに保存しましょう。

まとめ

SDカードをフォーマットすると、一見すべてのデータが削除されたように見えますが、実際には「完全に消えたわけではない」ケースが多く存在します。特にクイックフォーマットの場合、管理情報だけが消去され、データ本体はカード内に残っているため、適切なソフトを使えば復元できる可能性があります。本記事では、フォーマットの仕組みや削除されたファイルの扱い、復元が可能な条件、そして安全にデータを取り戻すための手順を解説しました。万が一フォーマットしてしまっても、上書きを避けて早めに行動すれば、大切なデータを取り戻せるチャンスは十分にあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. SDカードをクイックフォーマットしたのですが、データは完全に消えていますか?

A. クイックフォーマットではファイルの管理情報だけが削除され、データ本体はSDカード上に残っていることが多いため、復元できる可能性は十分にあります。

Q2. フォーマットしてから時間が経っていても、復元は可能ですか?

A. 時間の経過だけでは必ずしも復元不能にはなりませんが、SDカードが使用されていた場合、上書きによってデータが失われている可能性があります。フォーマット後はなるべく早く復元作業を行うのがベストです。

Q3. 復元ソフトでデータを復元する際、SDカードに保存しても大丈夫ですか?

A. 復元したデータを同じSDカードに保存すると、上書きが発生する恐れがあります。必ず別の保存先(例:パソコンの内蔵ドライブや外付けHDD)を選んで保存してください。

Q4. SDカードに物理的な故障がある場合はどうすればいいですか?

A. 水濡れや破損など、物理的な障害がある場合は、復元ソフトでは対応できません。その場合は、無理な操作をせずに、データ復旧の専門業者に相談することをおすすめします。

カオル
カオル · 編集者
カオルはパソコンの基礎知識や、各ソフトに関することなど、幅広く紹介します。わかりやすく、初心者やパソコンに苦手の方でも分かるように工夫をして、IT業界に対しても深い興味を持っています。パーティション管理に関する問題に関心があり、同じ問題に遭遇したユーザーは是非ともブログを参照してください。