ハードディスクから誤って削除したデータも、実は自力で復元できることがあります。初心者でも安心の手順と注意点を解説。
うっかり大事なファイルを削除してしまった——そんなとき、真っ先に頭に浮かぶのは「もう戻らないのでは?」という不安ではないでしょうか。
業務の資料、家族との思い出の写真、長年蓄積してきたデータ…。消えてしまったものが重要であるほど、焦りやショックは大きくなります。
ですが、ご安心ください。ハードディスクから消えたデータは正しい手順を踏めば、自分で復元できる可能性があります。本記事では、専門知識がない初心者の方でも実践できるハードディスクのデータ復元方法を、ステップバイステップで丁寧に解説します。
「削除してしまったファイルはもう元に戻らない」と思われがちですが、実はそうとは限りません。ハードディスクの仕組みを知れば、消えたように見えるデータが実はまだ残っていることが理解できます。
■ なぜ削除されたファイルは復元できるのか?
Windowsパソコンでファイルを削除した際、実際に消去されているのはファイルそのものではなく、そのファイルがどこに保存されているかを示す情報(インデックス)です。つまり、ファイルの実体はそのままハードディスク上に残っており、新しいデータで「上書きされるまでは」復元できる可能性があります。
このように、ファイル削除後すぐに復元作業を行えば、専用のデータ復元ソフトを使用して、削除前の状態に近い形でファイルを取り戻せるケースが多くあります。
■ 復元可能性に影響する3つの要素は?
データが復元できるかどうかは、以下の条件によって大きく左右されます。
消したデータの復元に取り組む前に、いくつかの重要なポイントを押さえておくことで、復元の成功率は格段に上がります。逆に、対応を誤ると、復元できたはずのデータまで完全に失われてしまうリスクがあります。
●1. 削除したドライブへの書き込みを避ける
データ削除後、最も注意すべきなのは「上書き」です。ハードディスクでは、削除されたデータの領域が「空き」として認識され、新たなデータがそこに上書きされていきます。削除に気づいたら、そのドライブへの書き込みを一切やめることが最優先です。可能であれば、PCの使用自体を一時中断しましょう。
●2. 復元ソフトは別のドライブにインストールする
データ復元を試みる際、多くの方が復元ソフトをネットからダウンロードして使いますが、ここで注意が必要です。削除されたデータと同じドライブに復元ソフトをインストールすると、上書きが起きる可能性があります。これは初心者がやりがちな失敗のひとつです。
●3. 復元したファイルの保存先にも注意する
復元ソフトを使ってファイルを取り戻せたとしても、それを元のドライブに保存してしまうと、他の削除データが上書きされることがあります。復元したファイルは、復元対象とは異なるドライブ(例:外付けHDDやUSBメモリ)に保存してください。
●4. ハードディスクに異常がある場合は自力での復元を控える
HDDが認識されず、異音(カチカチ音やギー音など)が発生し、頻繁にフリーズやエラーメッセージが表示される場合、物理的な故障の可能性があります。無理に操作を続けると、状況が悪化し、データの復元が難しくなることがあります。異常を感じた際には、自分での対処を中止し、専門のデータ復旧業者に相談することを推奨します。
ではここから、初心者の方でも自宅で実践できる、データ復元の具体的な手順をご紹介します。まず必要なものは、信頼できるデータ復元ソフトです。「どれを使えばいいかわからない」という方には、Partition Assistant for Recoveryをおすすめします。このソフトは、削除・フォーマット・アクセス不能など多様な復旧に対応し、初心者でも迷わないシンプルな操作設計を持っています。
ステップ1. 場所を選択
Partition Assistant for Recoveryをインストールして起動します。データが失われたドライブ(この例はCドライブ)を選択し、「スキャン」をクリックします。
ステップ2. ファイルを選択
「クイックスキャン」で削除されたデータを迅速に検出し、その後「ディープスキャン」で他の失われたデータを検索します。スキャンが完了すると、削除されたファイルや紛失したファイルが表示されます。
ステップ3. 保存先を選択
「フォルダーの選択」ボタンをクリックして、復元したファイルを保存するパスを選択します。
ハードディスクのデータは、削除された直後であれば高い確率で自力復元が可能です。大切なのは、削除後すぐに書き込みを避け、信頼できる復元ソフトを正しく使うこと。今回ご紹介した注意点や手順を参考に、落ち着いて対応すれば、大切なファイルを取り戻せる可能性は十分にあります。どうしても復元できなかった場合は、無理せず専門業者に相談するのも選択肢のひとつです。