フォーマットされたハード ドライブのデータを回復する方法【完全ガイド】
フォーマットしてしまったハードドライブのデータを取り戻す方法を徹底解説。初心者でもわかる復元手順と予防策を紹介します。
大切なデータが入っていたハードドライブを間違ってフォーマットしてしまった経験、ありませんか?
画像や文書、仕事のデータなど、大事な情報を失ったときは、焦りや落ち込みを感じることでしょう。しかし、慌てることはありません。フォーマットされたハードドライブからは、意外にもデータが回復できる可能性があるのです。
この記事では、フォーマットされたハードドライブからデータを回復する方法を、初心者でもわかりやすく解説します。データ復旧ソフトの使い方から、専門業者への依頼方法まで、完全ガイドとしてお届けしますので、安心して読み進めてください。
フォーマットとは?(基本的な理解)
フォーマットは、コンピューターのストレージデバイス(ハードドライブやSSD、USBメモリなど)に新たなファイルシステムを設定する作業を指します。この操作を行うことで、ストレージの領域が「初期化」され、新しいデータを保存できる状態になります。簡単に言えば、フォーマットはドライブを「新しく生まれ変わらせる」ようなものです。
▌フォーマットの目的と役割
ストレージデバイスをフォーマットする主な目的は、以下の2つです:
ファイルシステムの再設定:
コンピューターは、データを格納するために「ファイルシステム」という仕組みを使っています。例えば、WindowsではNTFS(New Technology File System)やFAT32(File Allocation Table)などが一般的です。フォーマットを行うことで、ストレージに適切なファイルシステムを設定し、データを整理・管理できるようにします。
不良データの削除とストレージの再構成:
長期間使用しているドライブでは、古いデータや破損したファイルが残ることがあります。フォーマットを行うことで、これらの不要なデータを完全に削除し、新しいファイルシステムのもとで効率よくデータを管理できるようにします。
▌フォーマットの種類
フォーマットには、大きく分けて2種類の方法があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
クイックフォーマット:
クイックフォーマットは、データの内容を「論理的に削除」する方法です。この方法では、ドライブのファイルシステムを再設定しますが、データ自体は完全には消去されません。つまり、データは残っている可能性があり、専用のデータ回復ソフトを使えば回復できることが多いです。しかし、時間が短く、手軽に行えるため、一般的に利用されています。
フルフォーマット:
フルフォーマットは、クイックフォーマットに加えて、ドライブ内のすべてのデータを「物理的に消去」します。通常、フルフォーマットを行うと、データは完全に削除されるため、データ回復が難しくなります。長時間かかるため、通常はドライブに不具合がある場合や、使用を終了する場合に行われます。
▌フォーマット後のデータはどうなる?
フォーマットを実行した後、実際に何が起きるのでしょうか? フォーマットは、データを完全に消去するわけではなく、次のようなことが起こります:
データの「見えない化」:
フォーマット後、データは目に見えなくなります。つまり、ファイルはドライブから消えたように見えますが、物理的にはその場所に残っていることが多いです。このため、データ回復ツールを使えば、フォーマット前のデータを回復できる可能性があります。
新しいデータの上書きが可能に:
フォーマット後、ドライブに新しいデータが書き込めるようになります。新しいデータが書き込まれることで、以前のデータが上書きされることがあり、その場合は回復が難しくなります。
▌フォーマット後のデータ回復が可能な理由
フォーマット後にデータを回復できる理由は、データが物理的に消去されるのではなく、アクセスできない状態にされるだけだからです。フォーマットによって、ファイルシステムが再構成されますが、元々保存されていたデータのブロックが「削除された」というフラグが立つだけです。データそのものは上書きされていないため、回復ツールでスキャンを行うと、元のデータを取り出すことができます。
しかし、時間が経つにつれて、新しいデータが上書きされる可能性が高くなるため、フォーマット直後にデータ回復を試みる方が成功率が高いと言えます。
フォーマットされたハードドライブのデータ回復方法
ここでは、フォーマットされたハードドライブのデータを回復する3つの方法を詳しく紹介します。
方法1:専門のデータ回復ソフトを使用する(おすすめ)
バックアップを取らずにフォーマットされたハードドライブからデータを復元する最も手軽で効果的な方法は、専門のデータ回復ソフトを使うことです。市販されている多くのツールは、高度なスキャン技術を搭載しており、フォーマット後でも失われたファイルを検出・復元できる可能性があります。中でもおすすめなのが、Partition Assistant for Recoveryです。このソフトは、以下のような特長を備えています:
✔ 写真、音声、ビデオ、PPT/PPTX、Word、Excel、PDF、メール、動画など1000以上のファイルタイプをサポートします。
✔ 内蔵・外付けHDD/SSD、SDカード、USBドライブなど、様々なストレージデバイスに対応します。
✔ ストレージデバイスのクイックスキャンとディープスキャンをサポートします。スキャン中にファイルの検索、フィルタリング、プレビュー、復元が可能です。
✔ 直感的で使いやすいUIを提供しています。
✔ Windows 7、8、10、11のバージョンに対応しています。
それでは、Partition Assistant for Recoveryを使ってフォーマットされたHDDからデータを復元する方法を見てみましょう:
ステップ1. 場所を選択
Partition Assistant for Recoveryをインストールして起動します。データが失われたドライブ(この例ではDドライブ)を選択し、「スキャン」をクリックします。
ステップ2. ファイルを選択
「クイックスキャン」で削除されたデータを迅速に検出し、その後「ディープスキャン」で他の失われたデータを検索します。スキャンが完了すると、削除されたファイルや紛失したファイルが表示されます。
ステップ3. 保存先を選択
「フォルダーの選択」ボタンをクリックして、復元したファイルを保存するパスを選択します。
方法2:コマンドプロンプトやディスク管理ツールを使用する(上級者向け)
データ回復ソフトに頼らず、自力でシステムのツールを使って復元作業を行う方法もあります。ただし、この方法はパソコン操作にある程度詳しい方、またはコマンド入力に慣れている方向けの手順となります。慎重に作業を行ってください。
ヒント:chkdskはデータを回復するツールではありませんが、ファイルシステムの修復によって「消えたように見えた」ファイルが再び表示されることがあります。
ステップ 1. 捜索ボタンで「cmd」と入力します。「コマンドプロンプト」が表示されたら、「管理者として実行」を選択してください。
ステップ 2. 次のコマンドを入力し、エンターキーを押して実行します。
chkdsk X: /f(「X」部分は回復したいドライブのドライブ文字に置き換えてください)
ステップ 3. 理が完了したら、ドライブを開いてファイルが表示されるか確認してください。
方法3:専門業者に依頼する(物理破損などの場合)
フォーマットされたハードドライブのデータをどうしても取り戻したい場合や、ソフトでは対応できないような重度の障害(物理破損・異音・水没など)がある場合は、無理をせずに専門のデータ復旧業者に依頼することをおすすめいたします。
ヒント:データ復旧の専門業者は、クリーンルームと呼ばれる特殊な環境でハードウェアを開封・診断し、ハードディスク内部のプラッタや制御基板などから直接データを読み取る技術を持っています。一般のソフトやユーザーでは手が届かないようなケースにも対応できるのが大きな強みです。
専門業者に依頼する手順(一般的な流れ)は以下です。
ステップ 1. 業者のWebサイトや電話で相談・問い合わせを行います。多くの業者は、無料相談やオンライン診断フォームを用意しています。
ステップ 2. 対象のハードドライブを業者に送付します。梱包はしっかり行い、衝撃対策を忘れずに行ってください。
ステップ 3. 初期診断(無料or有料)が行われ、復旧の可能性・費用が提示されます。
ステップ 4. 見積りに同意すれば、実際のデータ復旧作業が進められます。
ステップ 5. 復旧が成功した場合、指定メディア(外付けHDDやUSBメモリなど)にデータを保存して返送してくれます。
データ回復を成功させるためのポイント
ハードドライブをフォーマットしてしまったあとでも、正しい手順と注意点を守れば、高い確率でデータを回復できる可能性があります。以下のポイントを事前に理解・実践することで、データ復旧の成功率をより高めることができます。
✅ ポイント1:新しいデータの書き込みを避ける
最も重要なのは、フォーマットされたドライブに新しいデータを書き込まないことです。フォーマット直後のドライブは、「データが消えたように見えているだけ」で、実際には多くのデータが内部に残っています。しかし、そこに新しいファイルを保存してしまうと、古いデータの上に上書きされてしまい、復元が困難になる場合があります。
✅ ポイント2:回復作業は別のパソコンまたは別ドライブで行う
データ回復ソフトを使用する際には、対象のドライブとは別の場所にソフトをインストールし、復元データの保存先も別ドライブにすることが重要です。たとえば、誤ってフォーマットしたのがDドライブなら、データ回復ソフトはCドライブにインストールし、復元したファイルはUSBメモリなど別のメディアに保存することにします。誤って同じドライブに復元してしまうと、上書きのリスクが高くなります。
✅ ポイント3:自己判断が難しい場合は、早めに専門業者に相談を
異音がする、HDDが回転しない、ドライブがまったく認識されない――このような症状がある場合は、無理に操作を続けると状況が悪化する可能性があります。
- ハードウェアの故障の疑いがある
- ファイルシステムがRAW状態になっている
- 落下や水濡れなどの物理損傷があった
このようなときは、早い段階で専門の復旧業者に相談することが、結果的に費用・時間・復元率の面ですべてプラスに働きます。
フォーマットを避けるための予防策
ハードドライブを誤ってフォーマットしてしまうと、大切なデータを失ってしまうリスクがあります。そのようなトラブルを防ぐために、日頃からできる予防策を講じておくことがとても重要です。以下のポイントを意識しておくことで、予期せぬフォーマット操作を回避できます。
✅ ポイント1:大事なデータは定期的にバックアップする
最も基本的かつ重要な対策は、バックアップの習慣を持つことです。
- 外付けHDDやSSDにバックアップする
- クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)を活用する
- Windowsの「ファイル履歴」や「システムの復元」を有効にする
「週に1回」や「毎月1日」など、具体的なスケジュールを決めると継続しやすくなります。
✅ ポイント2:ドライブのフォーマット時は二重確認を徹底する
「ドライブを初期化しますか?」という表示が出た際に、うっかり「はい」や「OK」を押してしまう操作ミスは多くの方が経験しています。
- フォーマット画面が表示されたら、まずドライブ名と容量を確認する
- 「本当にこのドライブで間違いないか」一呼吸おく習慣をつける
- 不安な場合は、スクリーンショットを取って他人に確認する
特に複数のストレージ機器を接続している方は、誤認しやすいので要注意です。
✅ ポイント3:不要なストレージは常時接続しない
USBメモリや外付けHDD・SSDなど、使用していないストレージをPCに差しっぱなしにしていると、誤操作の原因になります。
- 使わないときは安全に取り外す
- フォーマットなどの操作中は、必要なストレージ以外を外しておく
- ドライブ名に「重要」「バックアップ用」などのラベルを付けて識別しやすくする
Windowsの「ディスクの管理」でドライブレターを分かりやすく設定しておくのも有効です。
まとめ
フォーマットされたハードドライブでも、正しい方法を選べばデータを回復できる可能性は十分にあります。本記事で紹介したように、信頼できるデータ回復ソフトの利用や、状況に応じた対応が大切です。また、予防策を知っておくことで、今後のデータ損失も防げます。焦らず慎重に対応し、大切なデータを守りましょう。