間違って削除したファイルがゴミ箱にない?Windowsで消えたデータを復元する3つの方法を解説します。
重要なファイルを誤って削除し、ゴミ箱にも存在しないという経験はありませんか?
通常、Windowsでは削除されたファイルは一度ゴミ箱に移動されますが、操作や設定によっては完全に削除されることもあります。
本記事では、Windows環境においてゴミ箱に入らずに消失したファイルを復元する方法を、原因の説明から具体的な手順まで明確にご紹介します。
Windowsでは、通常ファイルを削除すると一度ゴミ箱に移動され、そこから復元することが可能です。しかし、特定の操作や設定により、ゴミ箱を経由せずに完全に削除されることがあります。この章では、一般的な原因とそのメカニズムについて詳しく説明します。
✖1. 「Shift+Delete」で削除した
最も一般的な原因の一つは、Shiftキーを押しながらファイルを削除することです。この方法で削除されたファイルは、ゴミ箱を通過せずに即座にシステム上で「完全削除」されます。
この操作は確認ダイアログが表示されるため気づくこともありますが、うっかり実行してしまうことも少なくありません。
✖2. ファイルサイズが大きすぎてゴミ箱に入らなかった
ゴミ箱には各ドライブごとに保存可能な最大容量が定められています。例えば、1GBを超える動画や多数の画像ファイルなどの大きなファイルを削除すると、ゴミ箱に収まりきれずに直接削除されることがあります。
この場合、ゴミ箱には表示されず、復元することもできません。
✖3. 外付けドライブやUSBメモリから削除した
USBメモリ、外付けHDD、SDカードなどのリムーバブルメディアからファイルを削除すると、Windowsでは通常、ゴミ箱を経由せずに即座に削除される仕組みになっています。ユーザーが意識していない場合でも、「削除=完全削除」となるため、注意が必要です。
✖4. ゴミ箱の設定で「削除時に確認しない」になっている
ゴミ箱の設定で「削除の確認メッセージを表示する」が選択されていると、誤って削除しても気づきにくく、後になって削除されたことに気づくことがあります。
また、「ごみ箱にファイルを移動しないで、削除と同時にファイルを消去する」設定が有効な場合、常に完全に削除されることになります。文章最後の「2. ゴミ箱の設定を見直す」で設定を確認しましょう。
✖5. クラウド同期サービスの仕様によって削除した
OneDriveやGoogleドライブなどのクラウドストレージと同期している場合、ローカルでファイルを削除すると、クラウド上のデータも同時に削除されることがあります。
この際、クラウドサービスのゴミ箱に残っていれば復元が可能ですが、完全に削除されている場合は通常のゴミ箱からも見つけることができません。
ファイル復元作業を開始する前に、以下の3つのポイントを確認することが重要です。
●OneDriveやGoogleドライブのゴミ箱を確認:クラウドに保存されているファイルは、オンラインのゴミ箱に残っている可能性があります。
●Windowsのバックアップ機能が有効かを確認:「ファイル履歴」や「システムの復元ポイント」が有効であれば、過去のデータを復元することができる可能性があります。
●操作を最小限に抑える:削除後に新しいデータを記録すると、復元可能な領域が上書きされ、復元の成功率が低下します。
この章では、ファイルを復元する3つの方法の手順を詳しく紹介します。
「以前のバージョン」とは、システムの復元ポイントやファイル履歴を基にして、フォルダごとに過去の状態を表示し、復元することが可能なWindowsの機能です。
注意:ファイル履歴はWindows 8以降のオペレーティングシステムで利用可能です。
ステップ 1. 検索ボックスに「ファイル履歴」と入力し、表示された結果から「ファイル履歴でファイルを復元」を選択し、「開く」をクリックしてください。
ステップ 2. 次に、削除したファイルまたはそのファイルが含まれているフォルダを探し、該当するファイルを見つけたら緑色の「復元」ボタンを押します。
ステップ 3. その後、「ファイルを置き換える」を選択して復元を開始します。
Microsoftが提供する無料のコマンドラインツール「Windows File Recovery」を使えば、削除されたファイルの復元が試みられます。
ステップ 1. Microsoft StoreからWindows File Recoveryをダウンロードしてください。
ステップ 2. 管理者権限でツールを実行し、次の構文に従ってコマンドを入力します:
winfr ソースドライブ: 宛先ドライブ: [/mode] [/switches]
例えば、C:ドライブのゴミ箱からE:ドライブにzipファイルを復元する場合は、次のようにコマンドを入力します:winfr C: E: /extensive /n \C:\Recycler\*.zip
ステップ 3. 回復が完了すると、宛先ドライブに「Recovery_(日付と時刻)」という名前のフォルダが自動的に生成されます。
削除されたファイルを確実に復元したい場合、専用のデータ復元ソフトウェアを利用することが最も効果的です。特に「操作に自信がない」または「できるだけ多くのデータを取り戻したい」と考えている方には、高い復元率を誇るソフトウェアを使用することで、安心感を得ることができます。その中でも、初心者から業務用途まで幅広く利用されているのが、Partition Assistant for Recoveryです。
ステップ1. 場所を選択
Partition Assistant for Recoveryをインストールして起動します。データが失われたドライブ(この例はCドライブ)を選択し、「スキャン」をクリックします。
ステップ2. ファイルを選択
「クイックスキャン」で削除されたデータを迅速に検出し、その後「ディープスキャン」で他の失われたデータを検索します。スキャンが完了すると、削除されたファイルや紛失したファイルが表示されます。
ステップ3. 保存先を選択
「フォルダーの選択」ボタンをクリックして、復元したファイルを保存するパスを選択します。
削除されたファイルを復元する際には、タイミングや手順が極めて重要です。正しい対処を行えば、高い確率でデータを取り戻すことが可能ですが、誤った行動をとると復元が不可能になる場合もあります。本章では、復元の成功率を向上させるためのポイントと、避けるべき注意事項について詳しく説明します。
✔1. 削除に気づいたらすぐにパソコンの使用を中止する
ファイルを削除した直後、その領域には新しいデータが上書きされる可能性が生じます。上書きが行われると、その部分のデータは完全に失われることになります。
したがって、削除に気づいた時点で、できるだけ早くパソコンの使用を中止することが復元成功のための重要なポイントとなります。特にインターネットの閲覧やアプリのインストール、ファイルの保存などは上書きのリスクを高めるため、控えるべきです。
✔2. 復元ソフトは削除されたファイルとは別のドライブにインストールする
復元ソフトをインストールする際には、その場所に十分な注意を払う必要があります。例えば、Cドライブからファイルを誤って削除した場合、復元ソフトを同じCドライブにインストールすると、復元したいデータの上に新たなデータが書き込まれるリスクがあります。
このような事態を避けるためには、復元ソフトは可能な限り別のドライブにインストールすることをお勧めします。
✔3. スキャン前にパソコンのシャットダウンや再起動は避ける
「一時的に再起動すれば問題が解決する」と考えてパソコンを再起動すると、復元が困難になることがあります。再起動の際には、キャッシュや一時ファイルが自動的に保存・更新され、これが削除された領域に上書きされる可能性があるためです。削除に気づいた場合は、再起動を避け、そのまま復元ツールを使用する方が安全です。
✔4. 復元したファイルは必ず「別の場所」に保存する
復元したファイルを元の保存場所に保存することは危険です。なぜなら、復元作業中に他の失われたデータが上書きされるリスクがあるからです。そのため、必ず異なるフォルダや外付けドライブなど、別の保存先を選択することをお勧めします。
ファイルを誤って削除してしまった経験がある方は、「同じ過ちを繰り返したくない」と感じることでしょう。重要なデータを守るためには、日常的な準備が最も大切です。この章では、誰でも簡単に始められるデータ損失を防ぐための具体的な対策を紹介します。
►1. 定期的なバックアップを習慣化する
データ保護において最も効果的な手段は、定期的なバックアップの実施です。特に、仕事で使用するファイルや家族の大切な思い出の写真など、失いたくないデータについては、頻繁にバックアップを行うことが重要です。Windowsには「ファイル履歴」や「バックアップと復元(Windows 7)」といった標準のバックアップ機能が備わっています。
さらに、外付けHDDやNASを利用することで、自動的に毎日バックアップを取ることも可能です。また、Google Drive、OneDrive、Dropboxなどのクラウドストレージを活用することで、パソコンの故障や災害が発生した際にもデータを安全に保護することができます。
►2. ゴミ箱の設定を見直す
ゴミ箱は削除しても直ちには完全に消去されないという重要な安全機能です。しかし、設定によってはゴミ箱を経由せずに削除される場合があります。「削除の確認メッセージを表示する」にチェックを入れ、「ごみ箱にファイルを移動しないで、削除と同時にファイルを消去する」がオフになっているかを確認することが重要です。設定方法は、ゴミ箱アイコンを右クリックし、「プロパティ」を選び、「削除の確認メッセージを表示する」にチェックを入れます。「ごみ箱にファイルを移動しないで、削除と同時にファイルを消去する」のチェックを外します。
これらの設定を適切に行うことで、誤って削除してしまうリスクを大幅に軽減することが可能です。
►3. 大事なファイルには「変更禁止」や「読み取り専用」を設定する
Windowsでは、重要なファイルやフォルダに「読み取り専用」属性を設定することで、誤って編集や削除されるのを防ぐことができます。さらに、ファイルのバージョン管理を行うアプリケーションやクラウドサービスを利用することで、変更前の状態に戻すことも可能です。特に、業務に関連する資料や頻繁に使用するExcelやWordファイルに対しては、非常に効果的な手段です。設定方法は、対象ファイルを右クリックして「プロパティ」を選択し、「全般」タブの下部にある「読み取り専用」にチェックを入れて、「適用」→「OK」をクリックします。
►4. 「Shift+Delete」の使用は避ける
Shift+Deleteを使用してファイルを削除することは、ゴミ箱を通さずに即座にファイルを消去するため、誤って操作するリスクが非常に高まります。このショートカットを日常的に利用している場合は、できるだけ使用を避け、右クリックからの削除など、通常の手順でファイルを削除する習慣を身につけることが重要です。
間違って消したファイルを復元したのに、ファイルがゴミ箱に見当たらない場合でも、諦める必要はありません。ご紹介した以前のバージョンやWindows File Recovery、復元ソフトなどの方法を試すことで、多くの場合データを復元することが可能です。ただし、復元の成功率を高めるためには、すぐに操作を中止し、適切な手順を遵守することが重要です。また、今後のトラブルを避けるために、定期的なバックアップやゴミ箱の設定を見直すことを習慣化することをお勧めします。