HDDの読み込み・書き込み速度が遅くなる原因と解決方法

本記事では、HDDの読み込み・書き込み速度が遅くなる原因と、その対策をステップごとに詳しく解説します。「最近パソコンが遅い」と感じている方は参考にしてください。

ひとみ

更新者: ひとみ / 2025年08月12日

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HDDの基本構造と仕組みを理解する

HDDの速度低下を理解するには、まずその構造と仕組みを知ることが大切です。

HDDの内部には「プラッター」と呼ばれる円盤がいくつかあり、その表面にデータが磁気的に記録されています。このプラッターを高速で回転させ、読み書き用の「ヘッド」が必要な位置に移動してデータを読み取ります。回転数(RPM)が高いほど、読み書きの速度は速くなりますが、その分発熱や摩耗のリスクも増加します。

HDDでデータを読み書きする時、プラッターが物理的に回転し、ヘッドが正しい位置に移動する必要があります。これが機械的な動作なので、SSDのような半導体メモリ方式に比べて遅くなりがちです。さらに、断片化が進むと、ヘッドが頻繁に別の位置に移動するため、速度が低下します。

HDD

SSDは可動部品がなく、ランダムアクセス速度が非常に速いため、OSやアプリの起動が圧倒的に早いです。一方、HDDは大容量・低価格が魅力ですが、速度ではSSDに大きく劣ります。特に、経年劣化したHDDは新品SSDの10分の1以下の速度になることもあります。

HDDが遅くなる主な原因

HDDが遅くなる原因は一つではありません。主に以下のような要因が考えられます。

①物理的な劣化(経年劣化や摩耗)

HDDは物理的な部品で構成されているため、使えば使うほど摩耗や劣化が進みます。特にプラッターやヘッドは精密機械であり、微細な損傷でも性能の低下を引き起こす可能性があります。一般的に、HDDの寿命は3〜5年とされています。

②フラグメンテーション(断片化)の影響

ファイルが分割されて異なる場所に保存される「断片化」が進むと、ヘッドの移動回数が増え、読み書き速度が落ちます。特にWindowsでは長期間使っていると断片化が進みやすいです。

③不要なバックグラウンドプロセス

常駐ソフトやバックグラウンドで動作しているアプリケーションがHDDを頻繁にアクセスすると、他の処理が遅くなります。特にクラウド同期や自動アップデートが原因となることがあります。

④ウイルスやマルウェア感染

悪意のあるプログラムがHDDに頻繁にアクセスし、リソースを奪うことで速度が低下することがあります。セキュリティソフトによる定期的なスキャンが必要です。

HDDの読み込み・書き込み速度が遅くなる場合の対処法

HDDは長期間の使用や容量不足、断片化、物理的劣化などにより速度が低下します。 放置すると起動やファイルの読み書きが遅くなるため、以下の方法で改善を試してみましょう。

1. 不要ファイル・アプリの削除

長く使用しているHDDは、データの断片化や不要ファイルの蓄積、ストレージの空き容量不足などが原因で、読み込みや書き込み速度が遅くなることがあります。特に大容量のファイルを扱う場合や、OSやアプリの起動が遅くなったと感じる場合は、ストレージの整理が必要です。こうした状況で役立つのがPartition Assistant for Cleanupです。このソフトは、HDD内の不要ファイルや一時ファイルをスキャン・削除し、ストレージの最適化を行うことで、読み込みや書き込みの速度改善をサポートします。

Partition Assistant for Cleanupは、HDDの不要データを短時間で検出でき、シンプルな操作で安全に削除できます。特に、キャッシュや古いログファイル、重複ファイル大容量で使われていないデータなどを一括で整理できるため、ディスクの負担を軽減し、パフォーマンスの回復につながります。

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ステップ 1. Partition Assistant for Cleanupをインストールして起動します。「ジャンクファイルの削除」タブをクリックします。「スキャン開始」ボタンをクリックして、ジャンクファイルのスキャンを開始します。

スキャン開始

ステップ 2. スキャン処理が完了すると、すべてのシステムジャンクファイル(ごみ箱ファイル、一時ファイル、ログファイル、無効なショートカットなど)とレジストリジャンクファイル(DLLレジストリ、システムレジストリ、プログラムレジストリなど)が表示されます。不要なファイルを選択したら、「今すぐ削除」ボタンをクリックしてクリーンアップを開始します。

今すぐ削除

ステップ 3. クリーンアップには時間がかかる場合があります。選択したファイルがクリーンアップされます。プロセスが完了すると、クリーンアップ完了ウィンドウが表示され、クリーンアップ済みのファイルとまだクリーンアップされていないファイルの数が表示されます。

クリーンアップ完了

Windows標準ツールで使っていないソフトや不要ファイルを削除することで、HDDの空き容量を確保できます。空き容量が少ないとパフォーマンスが落ちるため、最低でも全体の15%は空けておくのが理想です。

▶ ディスククリーンアップ

ステップ 1. スタートメニューで「ディスククリーンアップ」と検索して起動します。

ステップ 2. 対象のドライブ(通常はC:)を選択し、「OK」をクリックします。

ステップ 3. 「一時ファイル」「縮小表示(サムネイル)」「ごみ箱」などにチェックを入れて、「OK」をクリックしてクリーンアップが開始されます。

ディスククリーンアップ

▶ 不要アプリをアンインストール

ステップ 1. 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」を開きます。

ステップ 2. 使用していないアプリを一覧から探します。

ステップ 3. 対象のアプリをクリックし、「アンインストール」を選びます。

アンインストール

2. デフラグによる断片化の解消

Windowsには「ドライブのデフラグと最適化」という機能があります。これを使うと断片化を解消し、ファイルを連続的に並べ直してHDDの読み込み速度を改善できます。※SSDではデフラグ不要なのでHDDのみ実行してください。

(☞゚ヮ゚)☞関連記事:Windows 10/11でハードディスクを最適化する方法

ステップ 1. スタートメニューから「ドライブのデフラグと最適化」を検索して開きます。または、「Windowsシステムツール」→「ドライブのデフラグと最適化」と辿ります。

ステップ 2. ドライブの一覧から、最適化したいHDDを選択します。

ステップ 3. 「最適化」ボタンをクリックします。最適化が完了するまで待ちます。

最適化

3. SATAケーブル・ポートの交換

HDDが正常に動作しているのに速度が遅い場合、接続しているSATAケーブルやポートに問題があるかもしれません。 ケーブルが劣化していたり、接触不良があると、転送速度が落ちます。 また、マザーボードのSATAポートには世代があり、古いSATA2(最大3Gbps)よりもSATA3(最大6Gbps)の方が速いです。 古いケーブルやポートを最新の規格に変えるだけで、転送速度がほぼ倍になることもあります。

ステップ 1. 完全にシャットダウンし、電源ケーブルを抜きます。

ステップ 2. HDDとマザーボードをつなぐSATAケーブルを新品に交換、または別ポートに接続します。

4. ファイルシステムのエラーチェック

ファイルシステムにエラーが発生していると、HDDの読み込み・書き込み速度に影響が出ることがあります。ファイルシステムにエラーがないか確認し、必要であれば修復しましょう。

ステップ 1. まず、WindowsキーとRキーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」に「cmd」と入力し、「Enter」を押してコマンドプロンプト(CMD)を起動します。

ステップ 2. 次のコマンドを入力してEnterキーを押します(※ドライブ文字はHDDに割り当てられたものに置き換えてください):

👉chkdsk E: /f /r

  • /f:ファイルシステムエラーの修復

  • /r:不良セクタのスキャンと回復

chkdskコマンド

ステップ 3. スキャンが完了するまで待ち、表示された内容に従って対処します。

上述の方法はHDDエラーチェックに十分ですが、一部のユーザーは、CHKDSKが10%で停止するエラー、やWindows 10でドライブのスキャン、修復が進まないエラーに遭ったことがあるでしょう。こういう時、専門的なサードパーティ製のツールを使ってHDDエラーをチェックできます。弊社のパーティション管理ソフトであるPartition Assistant for Managementはで、パーティションとディスク両方をチェックできます。

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注:デモ版は動作確認の目的でのみ使用されます。つまり、デモでは、すべての機能をプレビュー、すべての操作をシミュレートすることしかできません。※保証:❶24時間メールサポートを提供します。❷90日以内無条件で返品・返金致します。

Partition Assistant for Managementを起動します。チェックしたいドライブを右クリックし、「詳細処理」⇒「パーティションをチェック」を選択します。ポップアップにエラーチェックのみ、エラーチェックと修復、不良セクタチェック、3つのオプションがあります。必要に応じて一つを選択してください。

パーティションをチェック

チェック方法を選択

5. ウイルス対策ソフトの実行

ウイルスやマルウェアに感染すると、システムの動作が遅くなることがあります。ウイルス対策ソフトでスキャンし、感染している場合は駆除しましょう。

ステップ 1. スタートをクリックし、メニューから「Windowsセキュリティ」を選択します。

Windowsセキュリティ

ステップ 2. Windowsセキュリティ画面で、「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。

ウイルスと脅威の防止

ステップ 3. 右ペインで「クイックスキャン」をクリックします。

クイックスキャン

ステップ 4. 脅威が検出された場合は、指示に従って駆除します。

6. SSDへの移行

最も効果的な高速化の方法は、HDDからSSDに移行することです。 SSDは可動部品がなく、アクセス速度がHDDの数倍から数十倍速いです。 特にOSやアプリケーションをSSDにインストールすると、起動時間や読み込み時間が大幅に短縮されます。 HDDはデータ保存用、SSDは起動ディスクとして使う「デュアル構成」もおすすめです。

ステップ 1. Partition Assistant for Managementをダウンロード、インストール、起動します。クローン先のディスクを右クリックして、「ディスクをクローン」を選択します。

ディスクをクローン

ステップ 2. クローン先のディスクを選択し、「次へ」ボタンをクリックします。

クローン先のディスクを選択

ステップ 3. 確認画面に移動して、クローン元のディスクとクローン先のディスクを確認します。問題なければ「確認」ボタンをクリックして、続行します。「設定」をクリックして、ターゲットディスク上のパーティションを編集することができます。

 確認画面

ステップ 4. 「適用」⇒「続行」をクリックして、この操作を実行します。

適用

7. 外付けHDDの活用

外付けHDDはバックアップ用途だけでなく、データの一時保管や移動にも便利です。ただし、USB接続の場合は規格によって速度が大きく異なります。USB2.0よりもUSB3.0、可能ならUSB3.1やUSB-C対応のものを使うと良いでしょう。また、外付けHDDを頻繁に使う場合は、放熱対策も忘れずに行うことが重要です。

外付けHDD

まとめ

HDDの読み込みや書き込み速度低下は、物理的な劣化だけでなく、容量不足やファイルの断片化、ケーブルやポートの不良など、さまざまな要因で発生します。まずは不要ファイル削除やデフラグ、ケーブル交換などの基本的な対策を試し、それでも改善しない場合はSSDへの換装を検討するとよいでしょう。定期的なメンテナンスがHDDの長寿命化と快適なPC動作につながります。

よくある質問

1. HDDが突然遅くなるのはなぜ?

HDDが突然遅くなる原因には、断片化の急激な進行、不良セクタの発生、ウイルス感染、ケーブルやポートの不良などがあります。特に、物理的な損傷や寿命が近い場合は、急激に性能が低下することがあります。このような場合は、まずバックアップを取り、SMART情報を確認して早急に対応しましょう。

2. HDDとSSD、どちらにすべき?

速度を重視するならSSD、容量単価を重視するならHDDです。理想はOSやアプリをSSDに、動画や写真などの大容量データをHDDに保存する「ハイブリッド構成」です。これにより、速度とコストパフォーマンスの両立が可能になります。

3. HDDの寿命はどれくらい?

一般的に3〜5年が目安ですが、使用環境や稼働時間によって大きく変わります。高温・高負荷状態で使い続けると寿命は短くなりますが、低温・安定稼働であれば5年以上使えることもあります。

4. データ復旧は可能?

論理障害(ファイルシステム破損など)の場合はソフトで復旧できることがありますが、物理障害(ヘッド損傷など)の場合は専門業者に依頼する必要があります。ただし費用は高額になりがちなので、日常的なバックアップが一番の予防策です。

5. HDDを長持ちさせる方法は?

温度管理、衝撃防止、定期的な健康診断、不要ファイルの削除、そして適切な電源管理が重要です。また、使用頻度が低いHDDは完全に電源を切って保管することで劣化を遅らせられます。

ひとみ
ひとみ · 編集者
ひとみは、パソコンに関わるヘルプドキュメント、基礎知識、リソースなどを書いています。そのほか、バックアップ&復元、クローン、ディスク&パーティションの管理などの記事もたくさん持っています。分かりやすく、手順が追いやすい文章を心がけ、ユーザーがトラブルをスムーズに解決できるように工夫しています。専門用語を適切に解説し、異なる知識レベルの読者にも理解しやすい文章を心がけています。信頼性の高い情報を見極め、最新のトレンドやテクノロジー動向にも常に注意を払っています。