ウイルス感染で削除されたファイルを簡単に復元する方法をご紹介。CMDやデータ復元ツールを駆使して、削除ファイルを取り戻し、安全なPC環境を守るためのポイントも解説します。
パソコンや外付けドライブがウイルスに感染すると、大切なファイルが突然削除されたり、見えなくなったりすることがあります。
「ウイルスに削除されたファイルはもう戻らないのでは?」と不安になるかもしれませんが、適切な方法を取れば、ファイルを復元できる可能性は十分にあります。
この記事では、
ウイルス攻撃で削除されたファイルは復元できるのか?
ファイルを復元する具体的な方法(CMDを使う/データ復元ツールを使う)
復元成功率を高めるポイントや注意点や復元後に必要なウイルス感染対策についてわかりやすく解説します。
もし突然ファイルが消えてしまった場合でも、慌てずにこの記事を参考に、安全かつ確実にデータを取り戻しましょう!
ウイルス感染による被害の中でも、重要なファイルが削除される、または見えなくなるトラブルは非常に深刻です。
特にマルウェア、ランサムウェア、ワーム型ウイルスなどは、ユーザーのファイルを意図的に破壊したり、システムファイルを書き換えてアクセス不能にする機能を持っています。
このような状況に直面すると、「削除されたファイルは完全に失われたのではないか」「もう復元できないのでは?」と感じるかもしれません。
しかし安心してください。
ウイルス攻撃によって削除されたファイルでも、適切な方法を取れば復元できる可能性は十分にあります。
▸ なぜですか?通常、ファイルが削除された場合、パソコン内部ではデータそのものが即座に消去されるわけではありません。ファイルの保存領域が「空き領域」としてマークされるだけで、実際のデータ本体はしばらくの間ディスク上に残っています。そのため、削除後すぐに適切な対処を行えば、かなり高い確率でファイルを取り戻すことが可能です。
ただし、いくつか注意点もあります。
このように、ウイルス攻撃後のファイル復元にはスピードと適切な手順が重要です。次章では、ウイルス攻撃によって削除されたファイルを復元するための具体的な方法について、手動とツールを使った2つのアプローチをご紹介します。
ウイルスによって削除された、または隠されたファイルを復元する方法の一つに、コマンドプロンプト(CMD)を使用する方法があります。コマンド操作に慣れていない方でも、手順通りに進めれば比較的簡単に試すことができます。以下の手順に従って操作してください。
ステップ1. コマンドプロンプトを管理者権限で起動
パソコン画面左下の「スタート」ボタンをクリックし、「検索ボックス」に「cmd」と入力して、検索結果に表示された「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択します。
ステップ2. 対象のドライブを確認
削除されたファイルが保存されていたドライブのドライブ文字(例:C:など)を確認しておきます。
ステップ3. 復元コマンドを入力
コマンドプロンプトに、コマンド「attrib -h -r -s /s /d ドライブ文字:\*.*」を入力し、Enterキーを押します。「ドライブ文字」の部分は、復元したいドライブに置き換えてください。
このコマンドの意味は以下の通りです。
-h:隠し属性を解除する
-r:読み取り専用属性を解除する
-s:システムファイル属性を解除する
/s:すべてのサブフォルダーも対象にする
/d:フォルダー自体にも適用する
ステップ4. ファイルの復元を確認
コマンド実行後、対象ドライブを開き、削除されたファイルや隠されていたフォルダーが元に戻っていないか確認してください。もしファイルが復元されていない場合でも、焦らず次の方法に進んでください。
コマンドプロンプトを使用してファイルを復元する方法は有効な手段の一つですが、操作ミスのリスクや、すべての削除ファイルを復元できるわけではないというデメリットもあります。特に、ウイルスによってファイル構造が破損してしまった場合、CMDだけでは完全な復元は難しい場合があります。
このような場合は、専門のデータ復元ツールを使用することをおすすめいたします。Partition Assistant for Recoveryはユーザー自身ではアクセスできない深いレベルのデータまでスキャンし、削除されたファイルや隠されたデータを効率よく探し出すことが可能です。さらに、グラフィカルな操作画面で、初心者の方でも簡単に復元作業を進められるという大きなメリットもあります。
ステップ1. 場所を選択
Partition Assistant for Recoveryをインストールして起動します。データが失われたドライブ(この例はCドライブ)を選択し、「スキャン」をクリックします。
ステップ2. ファイルを選択
「クイックスキャン」で削除されたデータを迅速に検出し、その後「ディープスキャン」で他の失われたデータを検索します。スキャンが完了すると、削除されたファイルや紛失したファイルが表示されます。
ステップ3. 保存先を選択
「フォルダーの選択」ボタンをクリックして、復元したファイルを保存するパスを選択します。
ウイルスによって削除されたファイルを復元する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。正しい手順を踏まないと、かえってデータの損傷が広がったり、復元が困難になる可能性もございますので、ぜひ以下の点を意識してください。
●1. ウイルス感染を完全に駆除してから復元作業を行う
まず最初に、パソコン内のウイルスを完全に除去することが重要です。ウイルスが残ったまま復元作業を行うと、新たなファイルも再び削除されたり、復元データが破損するリスクが高まります。信頼できるウイルス対策ソフトでシステム全体をスキャンし、感染を完全に駆除した上で作業を進めましょう。
●2. 復元作業中はデータの上書きを防ぐ
ファイルが削除された直後は、データ自体はまだディスク上に残っていますが、上書きされると復元が難しくなります。 そのため、できるだけ早く復元作業を開始し、新しいデータの保存やソフトウェアのインストールを控えることが大切です。
●3. 専門ツールを使って効率よく復元する
手動操作やコマンドプロンプトだけでは、すべての削除ファイルを検出できないことがあります。確実にデータを取り戻したい場合は、データ復元専用のソフトウェアを活用するのが最も効果的です。ウイルス駆除→データ復元の順番を必ず守りましょう。
大切なファイルを復元できた後は、同じトラブルを繰り返さないために、ウイルス感染対策を強化することが非常に重要です。ここでは、復元後にぜひ実践していただきたいウイルス感染対策をまとめました。
▸1. 最新のウイルス対策ソフトを導入・更新する
ウイルスの脅威は日々進化しています。常に最新のウイルス定義に更新された対策ソフトを導入し、リアルタイムでの保護機能を有効にしておきましょう。また、定期的なフルスキャンも忘れずに実施することをおすすめします。
▸2. Windowsやアプリケーションを最新の状態に保つ
OSや各種アプリケーションに存在する脆弱性を悪用するウイルスも存在します。Windows Updateやアプリのアップデート通知が表示されたら、速やかに適用し、システムのセキュリティを強化しましょう。
▸3. 信頼できないメール・ファイルは開かない
ウイルス感染の多くは、怪しいメールや不審なファイルを開いたことが原因です。送り主が不明なメールや、心当たりのない添付ファイルには絶対にアクセスしないよう心がけましょう。特に、拡張子が「.exe」「.scr」「.zip」などの場合は注意が必要です。
▸4. 重要データのバックアップを定期的に取る
万が一、再びウイルスに感染しても、バックアップデータがあれば安心です。外付けハードディスクやクラウドストレージなど、複数の保存先を活用して定期的なバックアップを習慣づけましょう。
▸5. 不要なソフトウェアやプログラムは削除する
使用していないソフトウェアやアプリケーションが残っていると、セキュリティホールとなるリスクがあります。不要なプログラムはアンインストールし、シンプルで安全な環境を保つことも大切です。
ウイルスによって大切なファイルが削除されてしまった場合でも、適切な方法を取れば復元できる可能性は十分にあります。まずは落ち着いてウイルスを完全に駆除し、被害の拡大を防いだうえで、CMDやデータ復元ツールを使った復元作業に進みましょう。また、ファイルを復元できた後は「ウイルス感染対策」をしっかりと見直すことが非常に大切です。本記事を参考に、万全の対策を整えて、大切なデータとPC環境をしっかりと守っていきましょう。