Windows Serverを長期間運用していると、ログファイルや一時ファイル、不要になったシステムキャッシュなど、いわゆるジャンクファイル(ゴミファイル)が蓄積していきます。本記事では、Windows Server 2025/2022/2019/2016などの各バージョンに対応したジャンクファイルの削除方法を、手動操作・コマンド・専用ツールの3通りで詳しく説明します。
小さな事務所でWindows Server 2019を使っていますが、最近どうにも動作が遅くて困っています。起動も重いし、エクスプローラーの操作も引っかかる感じです。
ジャンクファイルとか一時ファイルがたまっているせいじゃないかと思ってるんですが、サーバー向けのクリーンアップってどうやればいいのでしょうか?安全に不要ファイルを削除する方法を教えてください。
補足: Cドライブの空き容量が10%未満になってます。
- ユーザーからの質問
ジャンクファイルとは、使われなくなった一時ファイルやキャッシュ、ログ、更新の残りなど、今後必要ないファイルのことです。
Windows Serverには、日々の運用やシステムの動作によって自然に蓄積される「ジャンクファイル(不要ファイル)」がたくさんあります。これらは、システムの安定性や稼働には直接関係のないファイルで、安全に削除することでディスク容量を回復し、サーバーのパフォーマンスを向上させることができます。代表的なものには、Tempフォルダ内の一時ファイル、ブラウザやアプリケーションのキャッシュ、インストール時に生成されるログファイル、旧バージョンのWindows Updateファイル、IISログ、Event Logの古い履歴などがあります。
これらのファイルは放置すると数GBから数十GBに増える可能性があり、特にCドライブが圧迫されている場合、システムが不安定になったりパフォーマンスが低下するリスクがあります。削除する前にバックアップやスナップショットを取っておくと安心ですが、基本的にはこれらを削除してもWindows Serverの動作には影響しません。
ファイルの種類 | 削除OK? | 説明 |
---|---|---|
C:\Windows\Temp | ✅ | 一時ファイル |
%TEMP% | ✅ | ユーザー一時フォルダ |
Windows Update 残骸 | ✅ | 古い更新データ |
IISログ (C:\inetpub\logs) | ✅ | Webサーバーログ |
Event Viewerログ | △ | 古いものは削除OK |
ここで、Windows Serverでジャンクファイルを削除する6つの方法を詳しく紹介します。
👉削除してはいけないファイルに注意!削除前のチェックリスト
ファイル | 削除NG理由 |
---|---|
System32フォルダ | OSが破損する可能性 |
レジストリファイル | システム構成が壊れる |
ドライバ関連 | デバイスが認識されなくなる |
最も手軽にジャンクファイルを削除できるのが、無料のクリーンアップツールを活用する方法です。たとえばPartition Assistant for Cleanupなどを使えば、TempファイルやWindows Updateの残骸、キャッシュ、大容量ファイル、重複ファイルなどもスキャンして一括で削除可能です。GUIで操作できるため、IT管理者でなくても安心して使えるのが特徴です。
Partition Assistant for Cleanupは、Windows Server 2025/2022/2019/2016/2012/2008などに対応した軽量かつ無料のクリーンアップツールです。
ステップ 1. Partition Assistant for Cleanupをインストールして起動します。「ジャンクファイルの削除」タブをクリックします。「スキャン開始」ボタンをクリックして、ジャンクファイルのスキャンを開始します。
ステップ 2. スキャン処理が完了すると、すべてのシステムジャンクファイル(ごみ箱ファイル、一時ファイル、ログファイル、無効なショートカットなど)とレジストリジャンクファイル(DLLレジストリ、システムレジストリ、プログラムレジストリなど)が表示されます。不要なファイルを選択したら、「今すぐ削除」ボタンをクリックしてクリーンアップを開始します。
ステップ 3. クリーンアップには時間がかかる場合があります。選択したファイルがクリーンアップされます。プロセスが完了すると、クリーンアップ完了ウィンドウが表示され、クリーンアップ済みのファイルとまだクリーンアップされていないファイルの数が表示されます。
Windows Serverにはユーザーごと、またはシステム全体で使用されるTempフォルダ(例:C:\Windows\Temp、%USERPROFILE%\AppData\Local\Temp)があります。これらは一時的な作業データや、インストール時の展開ファイルなどが残る場所で、再起動後には不要となることがほとんどです。
Windows ServerのTempフォルダをクリーンアップするには、まず、すべてのアプリケーションを終了してから、「%TEMP%」または「$env:TEMP」を検索して、表示されたフォルダ内のファイルを削除します。使用中のファイルはスキップしても構いません。
ステップ 1. 一時ファイルは、実行中のアプリケーションによって使用されている可能性があるため、まずすべてのアプリケーションを終了します。
ステップ 2. Windows Server 2016以降は「`%TEMP%`」を検索して開きます。Windows Server 2012以前はスタートメニューから「ファイル名を指定して実行」を選択し、「%TEMP%」と入力してEnterキーを押します。
ステップ 3. Tempフォルダが開いたら、Ctrl + Aで全選択し、Deleteキーを押してファイルを削除します。削除できないファイルがある場合は、スキップしてください。
ステップ 4. 完全に削除するために、ごみ箱を空にすることをお勧めします。
Tempフォルダ内のファイルは、システムやアプリケーションが一時的に使用するファイルです。不要なファイルを削除しても、システムの動作に影響はありません。
使用中のファイルは削除できない場合があります。その場合は、スキップして問題ありません。
定期的にTempフォルダをクリーンアップすることで、ディスク容量を節約できます。
Windows Server 2012以降では、オプション機能として「ディスククリーンアップツール(Cleanmgr)」を有効化すれば、GUIからジャンクファイルを削除できます。
Windows Serverでディスククリーンアップを実行するには、cleanmgrコマンドを使用するか、ファイルエクスプローラーからディスクのプロパティを開いて実行します。ディスククリーンアップは、不要なファイル(一時ファイル、インターネット一時ファイル、ごみ箱のファイルなど)を削除し、ディスク領域を解放するのに役立ちます。
ステップ 1. WindowsキーとRキーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。
ステップ 2. 「cleanmgr」と入力し、Enterキーを押します。
ステップ 3. ディスククリーンアップの対象ドライブを選択し、「OK」をクリックします。
ステップ 4. 削除したいファイル前のチェックボックスにチェックを入れて、「OK」ボタンをクリックします。
ステップ 1. ファイルエクスプローラーを開きます。
ステップ 2. ディスククリーンアップを実行したいドライブ(例:Cドライブ)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
ステップ 3. 「全般」タブの「ディスククリーンアップ」をクリックします。
ステップ 4. 削除するファイルを選択し、削除を実行します。
ディスククリーンアップを実行する際は、削除しても問題ないファイルを選択するように注意してください。
必要に応じて、「システムファイルのクリーンアップ」タブで、システムの復元ポイントやシャドウコピーを削除することもできます。
ディスククリーンアップは、定期的に実行することで、ディスク領域を効率的に管理できます。
PowerShellを使えば、より柔軟かつ自動化されたクリーンアップが可能です。
Windows ServerでPowerShellを使用して一括でジャンクファイルを削除するには、Remove-ItemコマンドレットとWhere-Objectコマンドレットを組み合わせて使用します。削除対象のファイルの種類や場所を指定して、一括で削除できます。例えば、特定の拡張子のファイルを削除したり、指定したフォルダ内のファイルを再帰的に削除したりできます。
ステップ 1. まず、PowerShellを管理者として実行する必要があります。これにより、システム内のファイルを削除する権限が付与されます。
ステップ 2. 削除したいファイルのパスと種類を特定します。例えば、.log拡張子のファイルを削除したい場合は、以下のように指定します。
この例では、C:\Logsフォルダ内の`.log拡張子のファイルをすべて取得しています。-Recurse`オプションは、サブフォルダ内のファイルも対象に含めるために使用します。
ステップ 3. 取得したファイルに対してRemove-Itemコマンドレットを実行して削除します。
Remove-Itemコマンドレットの`-Force`オプションは、確認メッセージなしでファイルを削除するために使用します。
この例では、C:\Tempフォルダ内のすべてのファイルとサブフォルダを削除します。
この例では、C:\Downloadsフォルダ内の`.tmpと.bak`拡張子のファイルをすべて削除します。
この例では、C:\Logsフォルダ内のerror_で始まる.log拡張子のファイルをすべて削除します。
ステップ 4. 実際に削除する前に、削除対象のファイルを確認するために、Where-Objectコマンドレットを使用できます。
この例では、7日以上前に書き込まれた`.log`ファイルを削除します。
削除する前に、必ずバックアップを取ることをお勧めします。
Remove-Itemコマンドレットは、削除されたファイルを完全に削除するため、復元はできません。
Remove-Itemコマンドレットの`–Force`オプションは、確認メッセージなしで削除するため、慎重に使用してください。
ファイルパスやファイル名パターンは、実際の環境に合わせて調整してください。
(☞゚ヮ゚)☞参考出典:Microsoft Ignite
サーバー運用に欠かせないログですが、定期的にクリアしないと膨大な容量を消費します。たとえば、IISログ(C:\inetpub\logs\LogFiles)や、Windowsのイベントログ(Application、Systemなど)は、1ヶ月単位で数GBに膨らむことがあります。以下のようにPowerShellでイベントログをクリア可能です:
wevtutil el | Foreach-Object { wevtutil cl $_ }
IISログについては、過去30日以上前のログファイルを削除するPowerShellスクリプトを定期実行すれば、安全かつ効率的に空き容量を確保できます。
Windows Updateによってダウンロード・インストールされた一時ファイルや旧バージョンの更新ファイルは、更新完了後も残ることがあります。これらを削除するには、以下のコマンドを管理者権限で実行します:
Dism.exe /Online /Cleanup-Image /StartComponentCleanup
このコマンドは、古くなったWindowsコンポーネントのバックアップを削除し、ディスク容量を数GB単位で回復できる場合があります。定期的な保守運用として有効です。
Windows Serverを安定して運用し、ディスク容量を最適化するためには、不要なファイルやジャンクファイルを定期的に削除することが重要です。 削除しても問題ないファイルを見極めながら、手動と自動の両方の方法でアプローチすることで、トラブルを防ぎ、快適なサーバー環境を保つことができます。 初心者でも使いやすいGUIベースの無料ツールを利用すれば安心ですし、PowerShellを使うことで管理者にとって強力な自動化ツールになります。
さらに、「Partition Assistant for Cleanup」のような専用ツールを導入すれば、サーバー全体の不要データを一括で検出・削除できるため、日常的なメンテナンスの負担を大幅に軽減できます。 サーバーのリソースを最大限に活用するためにも、定期的にジャンクファイルのクリーンアップをルーチン化していきましょう。