この記事では、HDDのデータを安全に完全削除する方法と、誤って消去したデータを復元するための無料対策を紹介します。
パソコン上でファイルを削除したり、ごみ箱を空にしたり、HDDをフォーマットしたりすると、一見データは消えたように見えます。しかし実際には、データの痕跡はHDD内に残っており、専用の復元ソフトを使えば簡単に復元できてしまいます。
HDD完全削除とは、こうした残存データを一切復元できないように、HDD内の全セクタに対してゼロデータやランダムデータの上書きを行うなどして、情報そのものを物理的・論理的に消去する方法を指します。これにより、専門業者や復元ツールを用いてもデータの再取得は困難になります。
🧹HDDを廃棄・譲渡・中古販売する前
🧹機密性の高い業務データや個人情報を扱っている場合
🧹不要なデータを確実に消去して情報漏洩を防ぎたい場合
HDDの完全削除にはいくつかのアプローチがあり、使用環境や目的に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。
HDDのデータを削除する最も基本的な方法の一つは、Windowsに標準搭載されている「フォーマット機能」や「コマンドプロンプト」を使う方法です。特別なソフトをインストールせずに実行できるため手軽ですが、注意すべき制限もあります。
Windowsの「ディスクの管理」からHDDをフォーマットすることで、データを一見削除することができます。ただし、これはファイルのインデックス情報を消しているだけで、実際のデータはHDDに残っており、復元ソフトで簡単に戻せてしまいます。
1. キーボードの「Windows」+「R」キーを押して、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
2. 「diskmgmt.msc」と入力して「OK」をクリックして「ディスクの管理」を開きます。
3. 完全削除したいHDDの該当パーティションを右クリックして「フォーマット」を選択します。
4. 「クイック フォーマット」のチェックを外し、「OK」をクリックして処理を実行します。
💡注:この方法はデータの完全削除には不十分です。復元ソフトで高確率で復元可能です。
Windowsには「cipher」コマンドというコマンドラインツールがあり、削除済みファイルの空き領域をランダムなデータで上書きする機能が備わっています。これにより、復元ソフトによるサルベージを防ぐ一定の効果があります。
1. Windows検索バーに「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを管理者として実行します。
2. 以下のコマンドを入力して実行:
cipher /w:D
※「D」は対象のドライブ文字に置き換えてください(例:Cドライブなら /w:C)
3. コマンド実行後、削除済みファイルの空き領域に対してゼロやランダムデータの上書きが行われます。
💡注:この方法も「削除済みファイルの領域」しか上書きされません。現在保存中のデータには効果がありません。もっと詳しく>>
HDDを本当に復元不可能な状態にしたい場合は、専用のデータ消去ソフトを利用するのが最も効果的です。これらのソフトは、ファイル単位ではなくドライブ全体に対して、安全かつ徹底的な上書き処理を実行してくれます。
多くのフリーソフトは、1回の上書きだけでなく、DoD 5220.22-M方式(米国国防総省準拠)やGutmann方式など複数回の上書きにも対応しており、高度なセキュリティ要件を満たす消去が可能です。
■ おすすめソフト:Disk Wipe
Disk Wipeは、シンプルなUIでありながら、強力なドライブ全体の消去機能を備えたフリーのデータ消去ツールです。インストール不要で使えるポータブルアプリケーションで、初心者でも直感的に操作できます。主な特徴は以下の通りです。
無料で使用可能
FAT/NTFS形式のパーティションに対応
ゼロフィル、DoD、Gutmann方式など複数の消去アルゴリズムを選択可能
※消去処理が始まるとデータは元に戻せません。操作前に必要なファイルが含まれていないか、必ず確認してください。
HDDの完全削除において、最も確実で復元の可能性がゼロに近い方法が「物理破壊」です。ソフトウェアによる消去に不安がある場合や、極秘情報を扱っていたHDDなど、確実な情報漏洩対策を求める場合に適しています。
■ 主な破壊方法
①ハンマーなどで物理的に叩き壊す
外装を外して、内部のディスク(プラッタ)を露出させたうえで、金属製のハンマーなどで破壊します。プラッタに深い傷を付けることで、データ復旧はほぼ不可能になります。
②ドリルで穴を開ける
プラッタ部分に複数の穴を開けることで、読み取り不可能な状態にします。ドリルは電動工具が必要となりますが、家庭でも実施可能です。
③工業用のシュレッダーや磁気破壊装置(ディガウザー)を使う
専門業者では、HDDを専用の機械で完全に粉砕・磁気破壊するサービスを提供しています。この方法は、大量のハードディスクを安全に処分するために使用できます。
HDDを削除・初期化した後に、「必要なデータまで消してしまった」と気付くケースも少なくありません。特に完全削除を行った後では、通常の方法では復元が難しくなりますが、まだ諦める必要はありません。専用のデータ復元ソフトを活用すれば、削除されたデータの一部、あるいはすべてを救出できる可能性があります。
データ復元には、AOMEI Partition Assistant for Recoveryという専門的なフリーソフトをおすすめします。このソフトは、パーティション紛失、誤削除やフォーマットなど、さまざまな原因で消えたデータの復元に対応しています。また、ドキュメント、写真、動画、メールなど、1,000種類以上のファイル形式に対応し、幅広いデータの復元が可能です。
以下の手順に従ってHDDから削除したデータを復元しましょう。
1. まず、Partition Assistant for Recoveryをダウンロード・インストールします。PC上のすべてのドライブまたはパーティションが表示されるので、スキャンしたいHDDにマウスを合わせて「スキャン」ボタン(虫眼鏡アイコン)をクリックします。
2. クイックスキャンが自動的に開始され、わずか3~5秒で復元可能なデータが即座にリスト表示されます。削除されたファイルを迅速に見つけるには、検索ボックスでファイル名や拡張子を入力して検索するか、「フィルター」機能を使用して種類、更新日、サイズなどの条件を設定できます。
3. 対象ファイルを選択し、「復旧xつのファイル」ボタンをクリックします。
4. 最後に、「フォルダーの選択」をクリックして、復元したファイルを保存する場所を選択します。
※ データの上書きを避けるために別のドライブに保存してください。
HDDのデータ完全削除は、ただ単に削除するだけでは不十分で、情報漏洩を防ぐためには確実な方法を選ぶことが重要です。Windows標準機能や無料のデータ消去ソフトを活用することで、ある程度の安全性を確保できますが、最も確実な方法は物理的にHDDを破壊することです。
ただし、万が一誤って削除してしまった場合でも、Partition Assistant for Recoveryのような信頼性の高い無料データ復元ソフトウェアを使用すれば、失われたデータを復元できる可能性が高まります。データを削除するときは慎重に行い、必要に応じてバックアップを取ることをお勧めします。